横田麻紀、その3。

連載中

[作品説明]

『あの汗に濡れたカラダを、先生は必ず着替えるはず』

その時の私は、単純だったと思います。
とにかく、涼子先生の裸が、見たかったんです。

興味、ですか?女の人の裸に、興味があるのかってこと、ですか?

涼子先生の裸が、というよりも、大人の女性の裸が、見たかったのだと思います。

変なこと、ですか?そうですか・・私は、変ですか・・。

運動部の部室には、シャワーが付いています。
きっと、先生は陸上部の部室のシャワーを浴びるだろうと、考えました。

休日の学校ですから、クラブ活動をしている運動部もありません。
グランドにいたのは、涼子先生だけかもしれないくらい、静かでした。

図書室から走りましたけど、先生はすでに部室に入っているようです。
陸上部は、ソフトボール部と、弓道部、ホッケー部と並び同じ建物に入っています。

その平屋の建物と、2階建ての校舎の間にグランドがあります。
陸上部は、一番左側にあります。

私は、他の部室の前を通らずに、建物の裏の小道を静かに歩きました。
陸上部の裏手まで来ると、かすかにシャワーを使う音が聞こえます。

私は部室の前にまわり、誰もグランドにいない事を確認し、音を立てないよう静かに引き戸を開けました。

いま思えば、大胆な事をしました。

部室の中は、汗の匂いや、芳香剤の匂い、洗濯物の生乾きのような匂いと。
とにかく、スゴい匂いの洪水でした。

その匂いに溺れそうになるくらいでした。
匂いに打ちのめされ、私はそこで立ち止まってしまいました。

それは、我に返った、という感じです。

『涼子先生の裸』を、とても美化していたのかも知れません。
ところが、部室の雰囲気は、十分に現実的だったのです。

私は、部室を出ようとしました。
逃げ出そうとしたのです。涼子先生に見つかる前に出ようと・・。

ところが、ダメでした。この時の一瞬が、私の一生を決めたのかも知れません。

また、言い方が、おおげさ、ですか?

「何をしているの!」と、涼子先生の声が部室に響きました。

私は、ストップモーションのように、片足を踏み出したままの姿で固まってしまいました。

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