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ダーリンは12歳年下〜遠恋の果てに〜

第4章 2000年:深まる関係


『ホントにもう帰っちゃうの?』

『うん…』

『そっか、なんか寂しい…』

『また会いにくるから。』

『うん……』



もっとゆうタンと一緒に居たいよ。
あんなにも会いたくて会いたくてやっと会えたのに。


『また会いに来る』って言っても遠いんだもん。
そんな簡単に会える距離なんかじゃないもん。


あたしはゆうタンをポケットに詰め込んで持って帰りたいくらいだった。




東京行きの新幹線がホームに着く。



『ゆうタン…』



あたしは離れたくなくてゆうタンの胸に顔をうずめた。

ゆうタンはそんなあたしを抱きしめてくれる。

暖かくてホカホカ。



『しいタンをずっとぎゅってしてたいよ……』

『もっとぎゅってしてて……』



あたしはこのままゆうタンの胸の中に溶け込んでしまいたかった。



新幹線の発車を知らせるベルが鳴る。

なのに、ゆうタンはまだあたしを抱きしめてくれてる。



『乗らないの?』

『やっぱり次の新幹線にする。』


そうやって1本、また1本と新幹線を見送った。




『しいタン…』



ゆうタンの唇が、そっとあたしの唇に重なった。


触れたか触れてないかわからないほどのかすかなKISS


だけど、あたしの胸の奥、キュンキュンして痛いよぉ





『ゆうタン…』

『ん?…』






『愛してるからね』



あたしはゆうタンの腕の中で包まれながら耳元でささやいた。




そこに愛があるかなんてわからない。


いくらチャットやメール、電話なんかで話してるうちに心が惹かれあったっていっても、実際に会ったのは今日が初めて。


どんなに好きな気持ちが芽生えてても、愛があるかどうかなんてわからない。



でも、


それでも、あたしは……


ゆうタンには『愛してる』
その言葉を伝えずにはいられなかった。



夫になんてそんな言葉、言ったことなんてなかったのに

何故か、ゆうタンには言いたかった。


ほんとにその時は何故なのかわからなかった。




今思えば、『愛してる』を伝えずにいれなかったのは、ゆうタンがあたしの人生で特別な人だったからなんだと思う。




ゆうタンを乗せた新幹線が涙でゆがんで、そして見えなくなっていった。

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