シアワセ∞経路
第11章 二人の恋
「なーんだ!佳奈と風子仲良かったんじゃん!全然話さないから仲悪いのかと思ってた。
これからは三人で一緒に話せるね」
「……」
三人で仲良くできたら、今頃きっと楽しい学校生活を送っていたのかもしれない。
見えないけれど、私と佳菜美ちゃんには修復できないほど大きな亀裂がある。
しかもお互いにそれを感じている。
こうなったのは何がきっかけだったのか分からなくて。
会話らしい会話もしたことがない佳菜美ちゃんにこんなに嫌われるとは思ってもいなかった。
考えられる理由としては私の何らかの態度が気に食わないとか、見ていてイライラするとかきっとそんな感じなのかな…。
無垢な比奈ちゃんの言葉に佳菜美ちゃんも頷くことすらできずに黙っているだけだった。
教室でいつも通りに飛び交う賑やかな話し声だけが目立って聞こえるほど、私たち三人は静かになった。
「比奈ー!黒板消し忘れてる」
比奈ちゃんがクラスメイトに呼ばれる。
ごめーん!っと気楽に謝り、黒板の方へ走り去って行った時だった。
佳菜美ちゃんは明らかに作っている笑みを浮かべた後、耳元にそっと話し掛けてきた。
「…アンタから次は比奈のこと奪ってあげる」