シアワセ∞経路
第15章 雨が上がったら
「あの時、何も言えなくてずっと後悔してた」
「え……」
優しい声につられて、見ることを避けていた方へと体ごと向く。
すると、私と同じくらいに雨でずぶ濡れになっているソラが穏やかに微笑んだ。
「風子、……好きだよ」
「……!」
驚きのあまりこわばった表情が緩んで、流すことを耐えていた涙が限界に達する。
「うそ……」
「本当だよ」
言い表すことのできない温かい気持ちで胸がいっぱいになり、震える手で口元を押さえた。
「私……、やっと諦めようとしたところだったのにっ……」
「じゃあ、何とか間に合ったかな。俺だって、二か月の間ずっと会ってもらえなくて嫌われたのかなって心配してたよ」
「それは…、告白を成功させるために、二ヵ月会わないって言うルールの願掛けをしてたからって言ってたじゃん…」
落ちてくる涙を拭きとるように、ごしごしと目をこすった。
こすった時に若干ヒリヒリする。
「目、ちゃんと開いてる?」
前にも同じことを言ったソラが私の顔を見てクスッと笑う。
「開いてるってば…。……泣き虫でごめん」