シアワセ∞経路
第17章 もし出逢っていなかったら
「おまえからわざと大切なものを奪ったのに、よくそんなこと言えるな。心も体もボロボロにしてやろうと思っていたのに……」
「颯太のおかげで勉強になったから、後悔してないよ。……いろいろ教えてくれてありがとう」
「くっ……。なんで、こんなオレなんかに……」
「え……?なに?」
「いや、……悪かった。大事なもの奪って、ずっと騙してて……」
思いもしていなかった言葉を掛けられて、目が大きく開く。
聞いたことがない颯太の静かな口調。
心の底から謝っていることが分かる。
「……うん」
怒りなんて湧いてこなかった。
それ以上に悲しくて、友達ですらなかったのかなと思うと心が苦しくなって。
残念だったけれど、颯太にも事情があったということ。
彼も自分なりに恋を実らせようとしていた。
その一生懸命に努力する気持ちは、同じ片想いをしていた私にも分かる。