シアワセ∞経路
第19章 シアワセ
「……ったく。教室覗いたら、佳菜美と絡んでるし。もう話すのやめとけ」
「そのつもり」
「……佳菜美も前はいじめられていたらしいんだ。親の都合で転校しまくりで。
前にいた中学では、居場所がなかった。
しかも、風子に似てるやつにいじめられたとか言ってたな。
だから風子と同じ中学に同時期に転校して来た時、居場所が奪われる前に奪いたかったんだってよ」
そう言われて、佳菜美ちゃんがまだいる学校の方を振り返って見る。
「話聞いて、可哀想になったか?」
「……少しだけ。でも今の話、聞かなかったことにする」
"自分もいじめられたから、いじめてやろうって思わないの……?"
佳菜美ちゃんに言われた言葉が頭を過ぎる。
含んでいる意味に傷付いた過去と憎しみがあって。
誰かを傷つけて、それを庇っていたのかな……。
でも、私はこんなつらい思いをまた誰かにさせるなんてそんなことしたくない。
自分がその立場になって分かった。
だから、佳菜美ちゃんが作り出そうとした負の連鎖は、私で断ち切らせてもらう。
そう心で誓った。