シアワセ∞経路
第19章 シアワセ
「……分かった、消さないでおく。でも、今日は先約があるのでこれで失礼します」
「いきなり冷たいこと言うなよ。どうせ、塑羅緒と一緒に帰るだけだろ」
どうして颯太がそれを知ってるの――。
ムッとしている颯太が親指を立てた拳で後ろを指す。
その方向を見ると、ソラが立っていて視線がぴったりと合う。
また二人でいるところを見られてしまった……。
でも、ソラのことが好きってしっかり伝えているんだからもう勘違いされないはず。
冷や汗が出てくるほど焦る気持ちを庇う。
今度こそ、颯太を振り切ってソラの方へ向かった。
「ごめんね。待たせちゃって……」
何もなかったかのように振舞ってはみたものの、ソラの表情は険しくて。
私じゃなく、颯太の方にその表情を見せているようだった。
「……おまえがオレとの約束破るなんて珍しいよな」
「ああ。そうだね」
「風子に手を出すなって意味も含めて言ってたんだけど?
頭良いくせに忘れたのか。それとも勉強し過ぎて、頭の片隅にもなかったか?」