シアワセ∞経路
第20章 After Story
「おーい。一人でそんなに持って重くねえの?……マッチョかよ」
制服を着崩しているけれど、大人っぽさがある颯太が話しかけてきた。
「か弱いけど、大丈夫です。一人で持てるんで」
「そういうジト目すんなよ。って、なんかいい匂いする」
「ちょっと……!」
「へー、風子もお菓子作るんだ?」
ピンクのサブバックを覗かれて、昨晩作ったクッキーの存在がバレる。
「簡単なレシピのだけど」
「ふーん。もしかして、そのクッキーはあいつにあげんの?」
「うん、そうだよ。いつも喜んでくれるから」
「まだ付き合ってないのにラブラブだなー」
「……っ、もう!颯太は黙ってて」
ニヤニヤしながら、今物凄く引っかかる言葉を掛けられる。
ラブラブと言えるかどうか分からないけど、順調でいい感じなのは間違いない。
照れくさくなりながら、颯太からの嫌味に対して頬を膨らました。
足早に廊下を歩いて振り切ろうとしたけれど、颯太はついてくる。
「むくれた顔も可愛いなー」
「それ、絶対からかってるでしょ」