シアワセ∞経路
第4章 あなたのとなり
「はい、取れた。どうして肩に消しゴムの欠片が乗ってんるだよ」
「あっ…、それは……授業中に消しゴムを触っていたらいきなり乗っちゃって」
抱きしめられるのかと思ってしまったけれど、さっきの授業の時にやられたこのことか。
大空先輩は呆れた顔をしながらも、私に付いてた消しゴムの欠片をサッと落としてくれた。
「はぁー……。どうやったら、髪と肩に消しゴムの欠片がつくんだよ。こんなところまで飛んだりしないだろ。……本当のこと言ったら?」
どうしてこの人には、見抜かれてしまうんだろう。
それに私の肩を触れたその手から伝わる力は、とても優しく感じた。
つい甘えてしまいたくなって、本音が口から漏れる。
「授業中に後ろの席の人が、消しゴムをちぎって投げてきて。意味分からないですよね。
先生だって、それを見て見ぬふりなんですよ。注意しろって思いませんか……?」
また愚痴を言ってしまった。
本当はあまり言いたくない。
こんな話をして面白い人なんていないんだし。