シアワセ∞経路
第5章 共力者
「ところで、そこの女の子の名前はなんて言うの?」
「あっ……、小神 風子です。えっと……」
「オレは、緒方 颯太。よろしくね、風子ちゃん。……可愛いね」
可愛い……!?
こんな言葉、男の人に初めて言われた!
一気に熱くなってきた両頬を手で押さえる。
嬉しくて、隠しきれずに口角も緩んでしまう。
私が一人で喜んでいる間に、二人の他愛のない会話にピリオドがついたようだった。
「じゃあ、また。せっかくのデートを邪魔して悪かったな」
ズボンに手を入れてた颯太さんは、私たちから通り過ぎて行った。
その背中を見ていると振り向いてくれて、チラッと目が合った。
笑顔で手を小さく振ってくれた颯太さんに不意にドキッと心が揺れた。
いやいやいや!なに勘違いしてるんだろう。
私と颯太さんじゃ、次元が違いすぎるからこれ以上関わることがないに決まってる。
不覚にもときめいてしまった余韻が残る。