シアワセ∞経路
第5章 共力者
「今週の日直やっと終わったー」
職員室前の学級日誌置き場に日誌を立てかけてから、ソラは表情を緩めた。
「お疲れさま。日直ってけっこう面倒だよね。授業終わる度に黒板消さなくちゃいけないし」
「そうそう。休み時間が減るデメリットが……」
「でも、私はひとりだからいい暇つぶしになってるよ」
「じゃあ、俺の代わりにやって」
「ひとつ上の学年の教室に毎回お邪魔するのはちょっと……」
「いや、本気にしなくていいから」
他愛のない話をしながら帰ろうとした時、女の子がバタバタと廊下を走ってやってきた。
「ちょっと待ってー!大空くん、学級日誌に書き込んで欲しいことあったんだけど」
「……」
学級日誌のこと話してるってことは、ソラと同じクラスの女の子のようで。
走っても髪型が崩れていないショートボブで、清楚で色白、一目見ただけで清楚さを感じられる。
同性から見ても美人だなって思えた。
一言でいえば、綺麗なお姫様みたいな人だった。
佳菜美ちゃんと話した時のように、ソラは私を盾にして後ろに隠れた。
それを見た女の子は、苦笑いをして少し困ってそうな顔をしていた。
「ちょっと……!隠れていないで、ちゃんと話すんだよ」
私は、ソラの背中をドンッと押した。
「っ……!なんでだよっ……。あの……、えっと……。それくらい自分で書けば」
なんでそうなるのー!
日直はソラなんだから、今ここで書いてあげればいいのに。
せっかくの機会が台無しである。
それに、ソラと同じクラスの女の子だってますます困って……――