《番犬女》は俺のもの
第8章 手段は選ばない
関節への攻撃はとても痛い。
涙目で梗子を解放した男の腕を茜が捻りあげる。
「いでででででー!!!!」
「…ハッ、…しまった つい‥っ」
茜は急いで男を離して段ボール山に放り投げる。
その頃には零の側にいたもうひとりも彼の足元に崩れていた。
「…く、くそぉ…ッ」
残ったのは、茜の側にいた男がひとりだけ。
少しずつ近づいてくる零と
すぐ横の茜に挟まれて狼狽えていた。
「…篠田?」
この時茜は、向かってくる彼の表情に驚いた。
あんな…篠田のあんな本気の顔は初めて見たからだ。普段の軽いあいつからは想像できない。
スチャ──
「ちょ…ッ 調子にのんなよ…!!」
「──…!」
「…ナイフ‥っ…!?」
男が取り出した刃物を見て、茜の後ろで梗子が怯えている。