《番犬女》は俺のもの
第9章 おしおきの時間
「自分は女の子だって、自覚してね?」
「…そんなの…、当たり前だろう」
「──自覚が足りないから言ってるんだよ」
「…あ…っ」
超、近距離だった彼の顔が引いてゆく──
手首を捕らえていた力がなくなり、自分にまたがっている男が上半身を起こした。
すぐには起き上がれない茜。
零は自分だけ立ち上がった。
「…結局…何もしないのか」
「…え? 俺にやらしいことされたかった? 」
「──違う…、ハァ」
危機が去り、やっと溜め息をつけた。
ゆっくりと上半身を起こす彼女に──
「……ハイ」
零が手を差し出す。
「飛んでったボタンはあといくつ?部屋真っ暗だし俺も一緒に探すよ」
「…篠田…お前……」
茜は差し出された彼の手を見つめた。