《番犬女》は俺のもの
第15章 オオカミさん
「服、しわくちゃだね」
自分で剥ぎ取っておきながらよく言える。
「──…せっかくシャワー浴びたのに、また汚れちゃったね。汗も…」
自分で身体中を舐めておきながらよく言える。
誰のせいでこんなに汗かいたと思ってるんだ。
無言の茜が乱れた服を着付けていると
…何を思ったか零はそれを阻止し始めた。
「…もっかいシャワーだけ浴びてく?」
「──…ッ!!」
「今度こそ俺と二人で」
「…っ…ふざけるな変態!」
我慢も限界で無意識に足がでた茜だったが、スパッツを足首まで下ろされていたことをすっかり忘れていた。
蹴ることもできず椅子から落ちてしまいそうになったところで、すかさず零が受け止める。
「だってオオカミだもん」
「どんな理屈だ」
「……ガルルッ」
「あー! もう ちっくしょう…っ、脱がすな!脱がすなって…!!」
このあと…
茜の懸命な説得と、必死の抵抗によって
《一緒にシャワー》
の危機だけは免れたようであった──。