《番犬女》は俺のもの
第19章 警戒
その日の放課後
「ハァ、ちゃんと撒いただろうな…!?」
何度も後ろを確認しながら、息を切らした茜がアパート目前の角を曲がった。
『アカネの家がどんななのか気になるな!』
『…そうか、勝手に気にしておけ』
『今日の放課後フリーだから案内してよ』
『私は死ぬほど忙しい』
──…
しつこく聞いてくるハルクをあしらい、それでもついてきた彼から全力ダッシュで逃げてきたのだ。
追い払うために遠回りしたせいで、普段より数キロ余分な距離を走ることに…。
今日はアルバイトの日ではない。
“ だがあいつにまで私の家を突き止められたら、面倒な騒動を持ち込まれるに決まっているからな ”
絶対に知られる訳にいかないのだ。