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触れたくない。

第4章 四





「ほら早く」



「ッあ、七瀬さんの…ば…かっ」




催促の声には完全に笑みが含まれていて、本当に意地の悪い。



言葉に出そうとすればするほど指を動かし、喘ぐばかりでいるとピタリと止められる。




「そんなに言いたくないのなら、別に構わないけれど」




と。いつの間にか私は畳に押し倒され、七瀬さんに覆いかぶさられていた。



驚いて彼をみると、


さらりと揺れる彼の黒髪から覗く瞳は完全に笑みで緩まっているのに気がついた。



…きっと七瀬さんにとって、私に彼がいてもいなくてもどちらでも良いのだろう。



ただ、私をこうして遊ぶための餌というだけで。




「…狭い人」



「それは君もだよ」



「…え」




思わず零した言葉の直後に彼がするすると足元へ行ってしまうから、まさかと思う。




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