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凍夜

第3章 花


よく考えてみたら、私は銀さんの過去を深くは聞いた事がなかった。

ある程度の年齢なのに、女がいるわけでもなく、浮いた噂一つ聞いた事がなかった。

それでも私にもわかることは、レイジと何か因縁があって、銀さんの腹の底に根付き続けているという事だった。


その夜、銀さんのデスクの引き出しに、無造作に眠る数枚の写真を盗み見た。

アリサさんと一人の男が写っていた。

私は、一目見て、その男がレイジだとわかった。

直感だった……。

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