その手で触れて確かめて
第5章 小さな恋の物語(O × O)
岡田side
「お疲れ〜。」
今日は高校の合格発表の日。
幼なじみの相葉雅紀と同じ学校を受験し、
めでたく合格。
で、2人だけのささやかな合格祝いを、
近くのファミレスでしていた。
「准一の頭だったら、もっと良いところ狙えたのに、何で、俺と同じところ受けたんだ?」
「俺、人見知り激しいから、雅紀とおんなじとこにしようと思ったの♪」
「あっそ…」
雅紀は分厚いメガネの位置を直し、
コーヒーを飲んだ。
「あーあ、受験すんだら、途端に暇になったなあ…」
俺が一人ごちると、雅紀がたしなめるように口を開いた。
「何言ってる?お前、これからお祖父さんと同じ警察官僚になるんだからもっと大変になるんだろ?」
「そうだけど…」
大きく息を吐きながら、スティックシュガーの空き袋を弄ぶ。
そう、俺の家はひい祖父さんの代から警察官をしていて、
今は祖父さんが警察官僚、父さんがキャリア街道まっしぐら、という有り難くない家柄に生まれてしまった。
「警察」イコール「お堅い」ってイメージが俺の中にはあって、
俺は正直、うんざりしていた。
そんな、うんざりするような会話の途中、
俺と同じ年頃の2人組が窓際の席を陣取った。
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