テキストサイズ

その手で触れて確かめて

第1章 白雪姫 (A × O)



やがて、王子役に完全になりきった岡田が登場し、


方や、この狼の目論見など露ほども知らずに役になりきる白雪姫に歩み寄る。


そして同じく、この男の腹の内など預かり知らぬ小人役の奴らが岡田に道を譲るように退いて、



横たわる白雪姫へと導く。



白雪姫を覗き込むように顔を近づける岡田。



…長いな…… 。



しばらくして、乾いた破裂音が響き渡ったと思ったら、



よろめき、頬を押さえながら後ずさる岡田を、



上半身を起こし、唇を噛みしめ睨み付ける白雪姫・大野智の姿が。



あっ!!あんのバカ!!マジで…




マジで白雪姫と…



大野智とキスしやがった…!!




呆気にとられ、やがてざわつく会場内。




怒りにうち震えながらも、



芝居に穴を空けてはならぬとばかりに演技を続ける大野智。




舞台の幕が降りるや否や、


大野智は足早にその場を立ち去っていった。



そして、その後を追うように岡田の姿も消えてしまった。



それから後、



大野智のご機嫌を取ろうと必死になって付きまとう岡田の姿が日常となり、



実は、2人が付き合ってるのでは、という噂まで流れた。



事実、それからも2人は 時々一緒に帰ったり、弁当を食べたりしていて、


関係性になんら変化が無いように見受けられたからだ。





だが…



ストーリーメニュー

TOPTOPへ