テキストサイズ

その手で触れて確かめて

第1章 白雪姫 (A × O)



だが、智は、



「アイツが勝手にくっついてくるんだよ?」



…やっぱり。



「『キスした仲だろ?』って、しつけぇのなんの…」



この話題をふると、


智はことのほか機嫌が悪くなる。



「でも、翔の友達が死んだ時に協力してくれたから、まあ、あんま、邪険にも出来なかったし…」


「そっか…」



そして、これは、後から聞いた話だが、



このキスが、智のファースト・キスだったとか、そうでないとか。



真相は、未だ分からずじまいだが。



…なんせ、怖くて、本人に聞けないし…。



それと、あと、気になることが…



「えっ!?雅紀、俺と同じクラスだったっけ?」



えっ!?ウソだろ?



「ホントに?」


「窓際の一番前だったんだけど…」



うーん、と考え込む智。



「当時は、ひょろっとしてて、背が高くて、分厚いメガネかけてたんだけど?」


「メガネ…」



やがて、枕に突っ伏し黙り込んでしまった。



が、突然、むっくりと顔を上げ、



艶然と微笑んだ。



ひょっとして、思い出してくれたのか?



「ごめん。メガネかけたやつなんてたくさんいたからどれがどれだか覚えてねぇや。」



「………」




姫、そんなご無体な!(泣)






『白雪姫』end.


ストーリーメニュー

TOPTOPへ