その手で触れて確かめて
第6章 二宮氏の憂鬱
二宮side
私、二宮和也は、
とある人物の、
とあることでとてつもなく頭を悩ませていた。
「ですから智さん、そこを曲げて何とか…」
『ったく…しょうがねぇなあ…今回だけだろうな?』
「出来れば定期的に…」
『はあ?それ、って、俺が家を出た意味あんの?』
「でないと、我々が社長のご機嫌とらないとならないので…」
『めんどくさいヤツだなあ。分かったよ。俺がビシッと言っといてやっから』
「助かります。」
とある人物とは、
私の直接の上司であり、
まだ、20代半ばという若さながら会社社長を勤める人物で、
今、電話で話していた方とは兄弟関係にある。
『翔だったら、俺なんかと違って気さくなヤツだからもっとうまく立ち回れる、と思ってたんだけどな?』
まあ、そうですね?
本来ならば、
社長…翔さんだったら、プライドの高いお兄さんの智さんとは違って、元々は人懐っこい方なので、
一々ご機嫌を取る必要なんてなかったんですよ。
それが、私が不用心にも口を滑らせてしまって、
彼の最愛の兄上から私宛にメールが来たことをうっかり話してしまい、
以来、弟である自分には全然音沙汰がないのに、とへそを曲げて、
その日の気分で仕事するようになってしまったんです。
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