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その手で触れて確かめて

第6章 二宮氏の憂鬱



で、



なぜか今、私はこの人と向かい合って話をしていた。



「…と、いうワケなんだ。」


「はあ……。」


「二宮くん。どう思う?」


「お気の毒、としか言いようが…」


「…だろうなあ。」



と、深いため息をつき、目の前で肩を落としたこの方は、



社長の不機嫌の種の1つで、弟・潤さんの『同居人』の相葉社長。



「ところで、翔はどこへ行ったんだ?」


「先ほどお電話がございまして、『ちょっと出てくる。』と言い残して…」


「俺のこと、避けてるワケじゃないよな?」


「そういうワケではない、と思いますが。」


「ハァー…」


「……」



私、いっつも思うんですけど、


こんなにも頻繁に社長のところへ来てて仕事はどうされてんでしょうね?



私が智さんの下についていた時もやはり、仕事の話と称してほぼ毎日のように智さんに会いに来てましたし。



はっ!!(゜ロ゜ノ)ノ



…もしかして…



潤さんとのことは口実で、



実は、社長と…翔さんとヨリを戻したい、とか…?





思い悩む姿が、有名な彫刻家の作品さながらムダに格好いい相葉社長。





私の思い過ごしならいいんですけど…。


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