その手で触れて確かめて
第6章 二宮氏の憂鬱
結局…
会社に戻られた相葉社長は、
勇気を出して潤さんにことの真相を聞き出したところ、
今、何故かテニスにハマっているのだとか。
ゆえに夜の不在の方は、仕事の帰りに、テニスのサークルに参加しているらしい。
それと、早朝の不在の方は、近所のケーキ屋へ通っているらしく、
相葉社長には理由を言わなかったらしいが、
バレンタインにおいしいケーキを作ってやりたいとの理由らしい。
それを聞いたウチの社長、
「爪の垢煎じて飲ませてやりてぇわ。」
と一言。
なぜなら、あの日、
相葉社長が相談に来る直前、
電話一本で慌てて出ていったのは、
奥さまから粉ミルクとお尻拭きシートを買ってきてほしいと、言うことで、
外出していたらしい。
家の中では奥さまに、
会社にあっては、上からの圧力だったり、我々社員だったり、
プライベートな相談を持ちかける相葉社長だったりがいて、
翔さんが、
遠く日本を離れた愛しい兄上に癒しを求めたとて、
別段、不思議な話ではないのかもしれない。
そして、今日も…
「いやっ!!だから、それは…ちょ、ちょっと、待っ…!」
受話器を握りしめたままドングリ眼で正面を見据え、上からの無茶ぶりにフリーズする翔さん。
ですが、そのガックリと肩を落としているところへ、
ついに、待ちに待った1本の電話がかかってきたんです。
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