その手で触れて確かめて
第6章 二宮氏の憂鬱
「と、言うワケなんだよ、二宮くん。」
「そうだったんですか…。」
そして、今日もまた、この方が…
「時々、潤にとって俺は何なのか、分からなくなるよ…」
「………。」
相葉社長、私もですよ。
私はいつからあなた専属のカウンセラーになったんです?
そこへ、例のごとく電話で呼び出されていた翔さんが戻ってきた。
「はあ、もういい加減にしてほしいんだけど…って、雅紀、こんなところにいたのかよ?」
「あ、社長、お帰りなさい。」
「もー、潤のこと、どうにかしてくれよ?」
私を押し退けるように、
翔さんは相葉社長の真ん前に座った。
「えっ?潤がどうかしたのか?」
「どうかしたのか、じゃないんだよ!?このままだと俺、病気になりそうなんだよ!?」
翔さんによると、
バレンタインに相葉社長に渡すために作ったというケーキの試作品を、
ほぼ、毎日のように食べさせられているのだ、という。
おまけに、
「翔、もうすぐ誕生日だろ?ケーキ作ってやっから。」
って。
「俺、潤に殺される…」
…大袈裟な…。
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