その手で触れて確かめて
第7章 甘くて、甘い…(A × M)
潤side
「………。」
そう言えば、はっきり聞いてないし言ってないかもしんない…。
風呂上がり。
バスローブ姿でグラスの水を喉に流し込みながら、バスタオルで髪を拭く。
その姿を、俺はベッドで頬杖を付きながらじっと見ていた。
「………。」
ベッドサイドに置きっぱになっていた、チョコを摘まみながら。
…それにしてもこのチョコうめえ。
どこの?
「………。」
…外国製か。
チョコ、って言えば、来月、あれか?バレンタイン?
あげたほうがいいのかな?
「………」(←風呂上がりの人をガン見。)
そもそも欲しいかな?
「ね、雅紀?」
「ん?どうした、潤?」
相変わらずタオルで髪を拭きながら、こちらを振り返る。
「雅紀は、さ、欲しい?」
すると、雅紀は今さっき口に含んだものを吐き出した。
「なっ…ほ、欲しい、って…?」
「きったねぇな?ちゃんと拭いとけよ?」
「だ、だって…おま…今、欲しい…って?」
え?俺、何か、変なこと聞いたっけ?
てか、何で、そんな顔赤いんだよ?
雅紀は音を立ててグラスをテーブルに置くと、
俺が寝そべっているベッドに足早にやって来て、
シーツをまくり上げた。
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