その手で触れて確かめて
第7章 甘くて、甘い…(A × M)
恋人、と言うよりは、
まるで愛人のような扱いだと思った。
それでも、見向きもされないよりはマシかと思って、
初めは求められれば繋がった。
それも日を追う毎に減っていって、
段々と一人寝のベッドが寒く感じるようになった。
雅紀の関心を引くために、どうでもいいようなことで拗ねてみせたり、
我ながら幼稚だとは思ったけど、
雅紀の困る様子を見ては満足していた。
けれど
そのうち雅紀に愛想つかされるんじゃないか、って、
不安に押し潰されそうな自分がいた。
「潤、どうした?食わないのか?」
「え?あ、うん。食べるよ。」
「お前から相談があるなんてどうしたのか、と思ったら、ボーッとしてるからさ?」
「ごめん。」
今、一緒にいるこの男の名前はは小栗旬。
大学時代からの友人で、
大っぴらに相談出来ないことがあったりすると、
いつもこいつに話を聞いてもらっていた。
「で?何かあった?『カレシ』と?」
「えっ!?///どうして?」
「あ…ビンゴ?」
「はあっ!?てめっ!!」
「アハハ!!ごめんごめん。ま、ま、このチョコケーキ、取り敢えず食べてみ?」
「ったく…」
と、勧められるままケーキを口にした。
途端…
「えっ…?」
瞬時に魅了されてしまった。
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