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その手で触れて確かめて

第7章 甘くて、甘い…(A × M)



あの時口にした、外国製のチョコの味を思い出す。


「………」



固まって動かない俺を見て、目の前の男がしたり顔で笑う。



「ここのパティシエ、俺の知り合いなんだよね?」

「旬…」



思わず友人の手を握る。


「頼みがあんだけど…」





ちょっと、迷惑かな?と思ったけど、



親友の伝で何とか仕込みの時間を割いてもらって早朝教えてもらえることになった。



朝、雅紀が目覚める前にベッドを抜け出して朝食を作り、



そのまま仕事に行けるようにスーツ持参でそのパティシエのいるスイーツの店に向かった。



そして、出勤時間に間に合うようにその店を出、



そ知らぬ顔で、雅紀の側で淡々と日常業務をこなした。





「潤、今日昼、一緒にどうだ?」



いつもは俺から誘っていたランチタイム。



二つ返事でOKしたかったけど、



早朝のケーキ作りの特訓に加えて、



夜は、最近趣味で始めたテニスのサークルに顔を出していた俺は午前の業務が終わる頃にはヘトヘトで、


簡単な食事をすませた後は仮眠をとるようにしていた。



だからうしろ髪を引かれる想いで、雅紀の誘いを断るしかなかった。



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