その手で触れて確かめて
第7章 甘くて、甘い…(A × M)
マンションに戻ると、
翔と一緒に収まった写真を見直しては、込み上げる笑いと格闘していた。
この写真を、海外に行ってしまった智に送ると、早速返信がきた。
『翔、太ったんじゃね?』
って。
それを見た翔は、
「これ食ってからダイエットする。」
とか言い出して、
余った分は嫁さんにやるとかで箱の中にしまってた。
とりあえず、喜んでくれたみたいで良かった。
それにしても…
遅いな、雅紀。
同じ会社で働いているとはいえ、
雅紀のスケジュールなんてのは全く知らない。
雅紀は、会社から一歩でも出たら仕事の話はしない。
ましてや、俺はアイツの秘書でさえない。
だから、雅紀は俺を秘書課に置きたがったが、公私混同されてると思われたくなくて断った。
同じ会社いること自体、そう思われかねないのに、秘書なんかやったら尚更だと思って。
「そんな四六時中俺の顔なんか見てたら飽きちゃうよ?」って、誤魔化したけど、
すごい寂しそうだった。
にしても、ほんと遅いな…
待ちくたびれた俺は、
テーブルにところ狭しと並べられた料理がただ冷めてゆくさまを眺めながら、
夢の中へと堕ちていった。
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