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その手で触れて確かめて

第7章 甘くて、甘い…(A × M)



「雅紀…どうして…?」


「…すまなかった。」



言葉少なに体を離そうとする雅紀に問いかける。



「どうして…聞いてくれないの?」



壁に凭れたままの俺の体を、



雅紀は無言で抱きしめてきた。



「そんなに信じられないの?俺のこと。」


「…違う。」


「だったら何で俺の話、聞いてくれないの?」


「潤…。」


「何でこんなことす…っ!!」



言葉を遮るように口づけてくる雅紀の体を、


思い切り押し退ける。



「…何誤魔化してんだよ!?」



雅紀の姿が滲んで見えた。



「アンタはいっつもそうだよ!?そうやって自分の分が悪くなると、なし崩しみたいにセックスにもっていこうとするんだから!」


「違う…」


「違わない!!」


「違う…!」


「え…?」



雅紀は、



自分を突き放した俺の体を、そっと包み込むように胸の中に収めた。



「…何て言ったらいいのか、言葉が出てこないんだ。」


「え…?」


「いつもうまい飯を作ってくれて、洗濯もしてくれて、掃除もしてくれて…。」


「俺、アンタのシモの世話までする家政婦じゃないんだけど?。」


「いやっ!!だから、そうじゃなくてだな…」


「そうじゃないなら、何?」



ホントは雅紀が、


何て言おうとしてんのか分かってたけど、



真っ赤な顔して、うんうん唸りながら頭を掻き毟っている姿を見てたらもっと見ていたくて…



意地悪したくなったんだ…。



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