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その手で触れて確かめて

第2章 劣情と熱情と純情と (A × M )



潤side


始まりはただの嫉妬だった。


それでも、何かに突き動かされたようにその部屋のチャイムを鳴らす。



低い声がして、ガチャリ、とドアが開き、


不機嫌そうなアイツが、

眉間にシワを寄せながら顔を出す。



「どうした?弟くん、珍しい。」


「どうしてもアンタに言いたいことがあって…。」

「そうか…。」



入るよう促すように、


ドアを広めに開けてくれる。



「適当に座ってくれ。」


まず、始めに目についたのは、


吸い殻で一杯の灰皿。



しわくちゃだが、捲られた形跡のないシーツ。



ベッドの上に無造作に投げおかれた上着。



書類。



パソコン。



それらすべてをまんまに冷蔵庫の前にしゃがみこむ、



よれよれのシャツを着たやり手若社長。



彼の名は相葉雅紀。



俺がこの世で一番嫌いな男。



「ジュースでいいか?」

「…何でもいいよ。」



スマホを弄りながら横目で空き缶の山を見やる。



ご丁寧に、プルタブを開けてジュースを手渡してくれる。



「マズ…。」



それでも飲まないよりはマシかと思って飲む。



でも、あまりの不味さに思わず本音が漏れる。





本音が出たついでに、


今まで溜め込んでいたものをぶちまける。



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