その手で触れて確かめて
第8章 蜜月 〜side A〜 ① (S × O)
翔side
「ふわ…」
今、何時?
目を擦りながらベッドサイドに置かれた腕時計をとる。
10時…
「う…ん…」
隣りに寝ていたハダカの背中が小さく呻いて身じろぎする。
俺は、気づかれないようにまたベッドに潜り込んで、
その背中に腕を回し抱きよせた。
すると、その背中がぴく、と動き、
顔をこちらに向けた。
「ビックリしたあ…。」
「おはよ。」
「おはよ、じゃないし。」
「だって…」
その人の首筋に顔を埋めて夕べの余韻を確かめる。
「ふふっ。智の匂いがする♪」
「気色悪っ!!」
智は俺をふりきるようにシーツにモゾモゾ潜っていった。
だから、俺も負けじと潜り込む。
「もう少し寝かせろや。」
「いいよ♪」
俺の腕ん中でね?
「翔くん。」
「はい、何ですか?」
「離れてください。」
「慎んでお断り申し上げます。」
「あのな…。」
一つ、大きく息を吐くと、
智はこちらを向いた。
「ただし、もうヤんないからな?」
「いいよぉ♪勝手にヤっちゃうから。」
「訴えてやる。」
「好きにすれば?」
眠そうに、でも、憎まれ口をたたく唇にキスをした。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える