その手で触れて確かめて
第8章 蜜月 〜side A〜 ① (S × O)
智side
昨夜のことを思ったら、
さすがに恥ずかしくて翔とは顔を合わせていられないくて、
翔がベッドから出ていってから起きようと思っていたのに、
目が覚めたらソイツの腕の中にいた。
「ビックリしたあ…。」
「おはよ。」
こちらに向けられたドングリ眼が細められる。
「おはよ、じゃないし。」
「だって…」
甘えるみたいに、首筋に顔を埋める体温に、心臓がどくんと跳ね上がる。
「ふふっ。智の匂いがする♪」
「気色悪っ!!」
バクバクうるさい胸の音を聞かれたくなくて、翔をふりきるようにシーツにモゾモゾ潜っていった。
けど、翔も負けじと潜り込んできた。
「もう少し寝かせろや。」
「いいよ♪」
シーツを頭に被っていてもなお巻き付けた手を離さない。
「翔くん。」
「はい、何ですか?」
「離れてください。」
「慎んでお断り申し上げます。」
「あのな…。」
あきらめ振り返り、そのドングリ眼を睨み付けた。
「ただし、もうヤんないからな?」
「いいよぉ♪勝手にヤっちゃうから。」
「…訴えてやる。」
「好きにすれば?」
翔の柔らかくて温かい唇が、
言葉の出口を塞ぐようにキスをした。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える