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その手で触れて確かめて

第8章 蜜月 〜side A〜 ① (S × O)



翔side



一端唇を離してからその体をベッドに仰向けに横たえてまた唇にキスを落とす。



長いまつげに縁取られた目蓋が閉じられて、



重なった唇からは甘い声と唾液を撹拌するような水音が漏れ始める。



互いの唾液で湿らせた唇で、すっかり汗がひいた首筋に口づけると、



少し鼻にかかったような艶のあるテノールが耳元を掠める。



瞬間智は悔しそうに眉根を寄せ、口元を綺麗な指先で覆い隠した。



「だめ。隠さないで。」


口元を覆っていた手を絡めとり智の顔の両脇に沈める。



「もっと、ちゃんと聞かせて…」



あなたが俺に感じてる、って声を…。



さらに唇を下に滑らせていって、



吐息と同じリズムで上下する胸の先を中に含む。



すると、甘声を押し込めようと喉の奥から引きつったような声を漏らしながら、


上体を僅かに捩らせる。



さらに、軽く歯をたてたり、舌先で転がしたりすると、


智は固く目を瞑り、深い快感の中に堕ちていこうとしている自分を戒めるかのようにぎゅ、と唇を噛みしめていた。




やがて、わざと大きな音をたてて吸い上げると、



絡めた指先を強く握り返しながら、





智は、清流を軽やかに転がり落ちる鈴の音のような綺麗な声で鳴いた。



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