その手で触れて確かめて
第8章 蜜月 〜side A〜 ① (S × O)
智side
翔「いいよ、智。その声も…その顔も。」
唇を離し、低い声で甘い言葉を囁きながら、指を増やす。
体がさらに深い場所に沈んでゆく気がして、慌てて目の前の温もりにしがみつこうとするけど、
なかなか掴めなくて、焦って、
また、その名前を呼ぶ。
「あ……しょ……っん」
背中を支えられながら、
でも、ナカで蠢く指先は、
敏感になっている部分に絶えず刺激を与えてきて、
頭がクラクラして、目眩がして、
自分が今何処にいるのかさえ分からなくなる。
「だ…だめ…ヤバ……」
完全に腰から下に力が入らなくなって、
支えられていないと崩れ落ちてしまいそうになる。
「んっ……あっ…」
熱っぽい目で見つめてきたと思ったら突然指を引き抜かれて、
力強く抱きしめられる。
甘い疼きだけ残して引き抜かれた指先が恋しくて、
その熱っぽい目を見上げる。
顔が近づいてきて、
唇を避けるようにキスの雨を降らされる。
もどかしい…
下半身を擦り寄せ、意地悪く細められる目を見つめる。
すると、翔は赤く扇情的な唇の端を僅かに上げ言葉を紡いだ。
「言って?何が欲しいのか。」
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