テキストサイズ

その手で触れて確かめて

第9章 蜜月 〜side A〜 ② (M × S)



潤side


翔「…何だよ!?」



大きな目を不快そうに細めながら睨みつけてくる。



「俺の…せいなのか?」

翔「そう聞こえた?」


「そうだ、って言ったら?」


翔「別に…どうもしないよ?」


「じゃ、何で…?」


翔「ヤられるヤツの気持ちなんてどうでもいいんでしょ?あの女の先生のことも環のことも…」



翔は、俺の手をやんわりと退けながら、


怖いぐらい、柔らかな笑みを浮かべた。



翔「…さっき、無理矢理ヤった俺のことも。」



ドアノブを押し開ける手を掴んで、



翔の体を部屋の中に引き戻す。



翔「お前、いい加減に…」



異論を唱えようとした翔を背中から抱きしめた。



翔「…何やってんだって…」



翔は、大きくため息をつきながら自分の体に巻き付けられた腕をほどこうと手を伸ばしてきた。



「ごめん…」



でも、その手は行き場をなくし、だらり、と脇に垂らされる。



翔「潤…いいこと教えてやるよ。」



翔は、腕をすり抜け振り返って俺を真っ直ぐ見た。



翔「俺が日本を離れていた間、何処で何してた、と思う?」


「何だよ?突然?」


翔「…売春。してたんだよ。」


「えっ!?う、嘘…だろ!?」





言葉に窮する俺を嘲笑うかのように、



翔は繰り返した。








翔「カラダ、売ってたんだよ…。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ