その手で触れて確かめて
第2章 劣情と熱情と純情と (A × M )
ネクタイを緩め、大きく息を吐き、パソコンの電源を落とす。
「で、俺にどうしろ、と?」
「だから、兄さんにもう会うな、って言ってんだろ!?」
「そうか…分かった。」
「へぇ、物わかりいいじゃん?」
案外、すんなり受け入れてくれたことに驚いて、
思わず椅子から立ち上がってしまう。
「じゃあ、今日からお前が俺の相手をしろ。それで手を打つ。」
「は?何言って…」
「子供の使いじゃないんだ。ただではい、分かりました、という訳にはいかない。」
「ふざけんなよ!?そんな条件…っ!」
首根っこを掴まれた、と思ったら、
ニコチンの香りにまみれた唇を押し付けられる。
「やめっ…何す…んっ…!?」
ざらりとした生暖かいものが口の中を這い回る。
息が出来なくて、意識が朦朧としてきたところへ、
バランスを崩してベッドへ倒れ込む。
その拍子に唇が解放され、大きく息を取り込みながら、
俺に覆い被さりながら、逆光の中で口元を歪めるアイツの顔を睨み付けた。
「そう言えば、お前、智と血の繋がりが無いそうだな?」
「だったら、何?」
「でも、今のその顔、智そっくりだ。」
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