その手で触れて確かめて
第9章 蜜月 〜side A〜 ② (M × S)
潤side
翔「そういう訳じゃ…」
分かってる。分かってるけど、
少し困らせてみたかったんだ。
甘えてみたかったんだ。
そうすることで、
俺と「血の繋がった兄貴」がどんな反応するのか。
迷わず、「潤、お前の方が大事だよ。」って、言って欲しかったけど、
俺が、翔のことを大切に思ってるみたいに、
智のこと大切に思ってるんだよな?、翔。
アンタと初めて会った時は、智のことを実の兄貴だ、って思い込んでいたからアンタには酷いことしたけど、
父さんに、
実は、智とは他人だったって聞かされて驚いたのと同時に、
漠然と抱いていた気持ちに気づいた。
もしかしたら俺、智にアンタを盗られたような気になってたのかもしれない、って。
だから、酷いこと言ったり、したりしてたのかもしれないって…。
しばらくして、何かが髪に触れたような気がして体を起こそうとすると、
翔の手がそれを阻んだ。
翔「潤、ごめん…俺…」
翔の両腕が背中に回されて、
逆に今度は、俺の体が翔の胸の中にすっぽり収まってしまっていた。
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