その手で触れて確かめて
第2章 劣情と熱情と純情と (A × M )
「おっさん、もう目までいかれてんの?」
「顔だけじゃない。そういう強気の言葉を吐くところもだ。」
「へぇ…」
耳元近くで囁くと、唇をそのまま下へ滑らせていく。
「何だ?抵抗しないのか?このままだとヤられるぞ?」
「逆に聞くけど、俺なんかが相手でいいわけ?」
「智の代わりに抱けるならお前でも構わない。」
代わり、ねぇ…。
シャツの下から差し入れられたアイツの手が、胸元をゆるゆると撫で回す。
思わず声が出そうになって、
その声を唾と一緒に飲み込んだ。
「確認なんだけど、俺、あの人の弟じゃない、って分かってんだろ?」
「構わない、と言ったはずだが?」
「ふーん…じゃあ、条件、つけていい?」
「条件?」
シャツの中に這い回るヤツの手を掴み上げ、その目を見つめた。
「…俺以外のヤツとセックスしないこと。」
「えっ!?」
目を丸くするヤツを見ながら、掴みあげた手に指を絡ませる。
「智はもちろん、翔もダメ。」
絡めとったヤツの手を、体の脇に押さえ込むように置き、じっと目を見つめた。
「…俺だけでアンタを満足させてやるから…」
ヤツの喉がこくり、と上下して、俺の手を握り返してくる。
「本当だな?」
絡ませた手を唇に押しあて上目でヤツを見つめ笑った。
「契約成立、だね?」
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