その手で触れて確かめて
第10章 お2階さん。( A × N )
雅紀side
「やっべ…お酢がねぇよ。」
俺、相葉雅紀は、
この春、晴れて大学生となり、念願の一人暮らしを始めたばかり。
初めての一人暮らしで、初めての晩めし。
記念すべき一発目は、
母ちゃんが配達日指定の宅配便で送ってくれた、俺の大好物のジャンボ餃子。
醤油に、たっぷりのお酢を混ぜて食うのがめちゃくちゃウマイ。
普通に、餃子用のタレでも良かったんだけど、
イマイチお酢感(?)が足りない気がすんだよね?
しょうがない、コンビニ行ってこよう…
「……」
…コンビニ、ってどの辺にあるんだ?
スマホで検索してみると、
「はあっ?」
一番近いとこでこっから徒歩20分!?
…ウソだろ?
どんだけ田舎なんだよ!?
まあ、でも、しょうがないか。
受ける大学にことごとく落ちまくって、
で、進路指導の先生に探してもらったところが、
春から俺が通うことになった今の大学。
が、しかし、
「先生、この大学がある市ってどこ?」
「えーっと、ちょっと待ってろ?」
パソコンとにらめっこを始める先生。
え?パソコンで検索しないと分かんないとこなの?
急に不安になる、俺。
「あ!!あったあった!!ここだここ!!」
えっ!?結局、そこ、どこ?
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