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その手で触れて確かめて

第10章 お2階さん。( A × N )



帰ってきた!


俺はベッドから飛び起きると、



慌てて部屋を飛び出し、2階へと駆けあがる。



でも…



「あれ?」



その部屋の前にいたのは、



アイツじゃなくて、



アイツと背格好は似てるけど、



ヘタしたらアイツよりは幼い顔した男の人がいた。



智「どちら様?」


「あの…この部屋、って…?」


智「もしかして、カズが言ってた酢を貸してた人?」



カズ…?友達…かな?



智「あ、おいらカズのアニキ。アイツ、今、バイト行っててさ、アイツに頼まれてたもん持ってきたんだ?」


「あ、お兄さん…ですか?」


智「お酢、返しに来てくれたんだ?」



俺の手元を見て「カズ」のお兄さんはにこ、と笑った。



智「カズがウチに電話してきて、『知らないヤツに酢を貸したら返しに来ない』ってブーブー言ってたからさ?」



お兄さんはスーパーのレジ袋から酢を取り出して見せた。



…何だ、別に返す必要なかったんじゃん?



智「アイツね、ラーメンに酢をぶっかけて食べんの。だから酢は必需品。」



え?そうなんだ!!一緒一緒!!



智「取り敢えず、預かっとくね?」



お兄さんに借りた酢を預けると、


俺は軽やかに階段を駆け下りた。

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