その手で触れて確かめて
第10章 お2階さん。( A × N )
それからというもの、
「カズ」なるお2階さんに会えぬまま、
ゆうに半月が過ぎた。
もう、来週はGW。
そしたら、顔なんか忘れちゃうんじゃないか、って思ってしまった。
そんなことをぼんやり考えながら講堂の出入口を眺めていたら、
後ろから分厚い教科書ではたかれた。
潤「こら!!相葉!!よそ見すんじゃない!?」
「いって…。」
と、俺の隣で、濃い顔のイケメンが笑った。
この男、学部は違うけど、
同じ選択科目の授業をとっていて、
こうして授業の時には彼と2人並んで講義を聞くようになった。
潤「可愛い子でもいた?」
「うーん…」
見る人が見たら可愛いのかも知んないけど…
潤「…どの子?」
と、俺の間近に顔を寄せて来て同じ方向を眺めていた。
この濃ゆい顔、よりで見たら一段と濃く感じるな…
などと、声に出して言ったら間違いなく本人にシバかれるようなことを考えていたら、
潤「おっ!?雅紀が見てた子って、アレ?」
アレ?って、どれだよ?
目を凝らし、彼が小さく指さす方を見る。
すると…
えっ…?
そこには、色白の不機嫌そうな横顔が、
俯いて、ゲームに没頭していた。
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