その手で触れて確かめて
第10章 お2階さん。( A × N )
和「…ったく、何考えてんだか……。」
風間くんの後ろ姿を呆然と見送る俺。
カズは、
後ろにいる俺の視線が気になるのか、
背中を向けたままだ。
「あ、あの…。」
和「アイツの言うことなんて真に受けんなよ?男同士で恋愛なんてバカバカしい。」
カズは俺と目を合わせないようにしながら部屋のドアを開けた。
「そ…そうかな?」
和「え…」
「お兄さんたち、スゴく楽しそうじゃん?」
和「はあ…?」
「…幸せそうだし。」
和「男同士なんだよ?」
「それでも…幸せそうに見えたけどな?」
和「ふーん。じゃ、雅紀は俺とそんな風になりたいわけ?」
「いや…そ、その…」
部屋のドアを閉めると、
カズは通路の手摺に寄りかかって俺を上目で見た。
和「じゃ、俺が付き合って、って言ったら付き合う?」
「えっ……?」
思わず、にやけ顔になりそうだったのを、
気合いで食い止める。(←笑)
和「別に無理に答えなくていいよ?」
今度は、体を反転させ、手摺に手をかけて下を覗きこんだ。
「俺は…俺は付き合う、っていうのではないかもしれないけど、いつも一緒にいたいな、とは思ってる。」
和「…何?スッゴい曖昧だね?」
「だって、カズのこと嫌いじゃないから。」
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