その手で触れて確かめて
第11章 先輩なオレと後輩なキミ。(S × N)
翔side
カズは、俺の部屋に入ると足を止め、
サッカー部にいた頃のオレの写真だとか、
小さい時にもらった、有名Jリーガーのサイン入りのボールだとかを興味深そうに眺めていた。
「コーヒーでも淹れよっか?」
もの珍しそうにキョロキョロしているカズに声をかけた。
和「えっ!?あ、あ、はい。」
「じゃ、適当に座ってて?」
ヤカンを火にかけて、目を閉じ大きく息を吐いた。
カズが…カズがオレの家にいる…
勢いとはいえ、家に誘ってしまった自分に、
今更ながら驚いていた。
親父は職場の飲み会、お袋も婦人会の集まりとかで帰りが遅い。
つまりはカズと、
カズとどうにかなれる千載一遇のチャンスに、
オレは、偶然にもカズを連れてきてしまった、ってことだ。
やべ。緊張してきた。
大きさの違うマグカップにインスタントコーヒーを波々と注ぎ、溢さないように慎重に階段を上がってゆく。
部屋に戻るとカズは、
ローテーブルにプリントを広げウンウン唸っていた。
オレの気配に気づくとカズは、
振り向いて、安心したように笑った。
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