テキストサイズ

その手で触れて確かめて

第11章 先輩なオレと後輩なキミ。(S × N)



和也side



翔「何?宿題?」



先輩は、オレの目の前に 静かにマグカップを置くと、



目の前に広げていたプリントを覗き込んだ。



「自分でやってみたけど、やっぱ難しくて。先輩教えて?」


翔「どれどれ。」


「………。」



問題文を食い入るように見つめる先輩の目。



笑った顔もいいけど、



真剣な顔も凛々しくてカッコいい。



翔「聞いてる?」


「え?」



慌てて顔を上げると、


今までにない近い距離にその顔があって、



ビックリしてまた、顔を逸らしてしまった。



「ごっ、ごめんなさい!」


翔「あっ…う、うん。」


心なしか、先輩の顔も真っ赤だった。



翔「カ、カズ。」


「な、何。先輩?」


翔「その、さ、先輩、って呼び方止めない?一応、付き合ってんだし。」


「でも、何て呼んだら…」


翔「翔…って…呼んでくれないかな?」


「し、しょ…うさん…?」


翔「カ、カズ…」



オレの手に重なる先輩の手。



近づいてくる先輩の顔。


いよいよなのかな?と、目を閉じた時、



けたたましく先輩のスマホが鳴った。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ