その手で触れて確かめて
第12章 甘く、透明なオレンジ( M × O )
潤side
智「じゃあ、資料置いてきますのでご検討下さい。」
潤「あっ、はい、ありがとうございます。」
俺の目は、
目の前に置かれた資料、
ではなくて、
その資料を手渡す綺麗な指先に釘付けになる。
智「じゃ、失礼します。」
にこ、と笑って去ってゆく後ろ姿、にも。
翔「ま・つ・も・と・く・ん!!」
「わっ!!ビックリした…」
翔「さっきから呼んでるのに、ぼーっとしてるから。」
「す、すいません…」
翔「もしかして…原因は、アレ?」
櫻井先輩は、さっき、資料を置いていった人を顎で指し示した。
「は?な、なんのことですか?」
翔「惚けちゃって♪…気になってんでしょ?智くんのこと?」
…そんな分かりやすいのかな?俺?
翔「協力しようか?」
「は?な、何で!?」
思わず出てしまった大声に、
オフィスの中で注目を浴びてしまった。
そして、あの彼も、
何事かとこちらを見た。
「ちょっと、先輩!!」
翔「俺、智くんとは小、中学の同級生だったの。」
「え?そうなんだ?」
声を潜める先輩に、つられて俺も小声になってしまう。
翔「ちょっと待ってて?呼び戻してくるから。」
へ?さっそく?
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