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その手で触れて確かめて

第12章 甘く、透明なオレンジ( M × O )



智side


「え?今晩?」


翔「久しぶりにさ、ご飯食べにいこ?」



翔くんは肩を組みながら、人懐っこい笑みを浮かべた。



翔「ね、奢るからさ?」


「奢るなんて…!割り勘でいいよ?契約までしてもらってるのに…」


翔「いいのいいの、気にしないで?そのかわり、こっちの彼も連れてっていい?」



と、翔くんは洋風な顔立ちの綺麗な男の子をチラ、と見た。



「それは構わないけど…」



僕の仕事は保険の外交員。



毎月、トップセールスにはほど遠い営業成績で、



営業所長に毎日のように小言を言われていた僕は、



ほんとは気がひけたけど、



小、中学の同級生だった翔くんに頼み込んで保険の契約をしてもらった上、



翔くんの勤めている会社で営業させてもらうこともできた。



それでも、とれた契約は1件だけ。



2週間、足を棒のようにして回っても契約をとれないことが多い中、



まだ、マシなほうだ。



翔「じゃ、また、連絡するから。」



翔くんは、爽やかに手を振りながらこれから外回りだから、と



営業カバンを抱えてオフィスを後にした。



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