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その手で触れて確かめて

第12章 甘く、透明なオレンジ( M × O )



潤side


智「え…?」



大きく目を見開き、大野さんは僕らを見た。



「せ、先輩、何言って…」


翔「だって、一目惚れしました、ってオーラ、全開だったじゃん?」



何だよ、一目惚れオーラ、って?



智「あ…と…その…」



ほら、大野さん、困ってんじゃん!?



智「僕、帰る。」



大野さんは素早くカバンを手に取ると、くるりと背を向けた。



「あ、大野さん!?」



慌てて立ち上がるも、



隣で呑気にジョッキを傾けている先輩に少しイラつく。



翔「ほらほら、追いかけないと、行っちゃうよ?」


手をヒラヒラさせ相変わらず含み笑いを浮かべてる。


ったく、誰のせいだと…



翔「後で、結果報告ヨロシク♪」



イイ気なもんだな!?人の気も知らないで…



慌てて上着とカバンを抱え大野さんの後を追った。



「大野さん!」



ものすごい早足で歩く後ろ姿に声をかけた。



「歩くの早いんですね?」



大野さんの隣で息を整える。



「すいません、何か、変な空気にしちゃって?」


智「あ…ううん。僕の方こそ、せっかく誘ってもらったのに…」



大野さんは、申し訳なさそうに眉尻を下げた。


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