その手で触れて確かめて
第12章 甘く、透明なオレンジ( M × O )
智side
今日は早々に店仕舞いをして、松本くんをとっておきの場所に案内することにした。
潤「ここ?」
「うん。夕やけがスゴく綺麗なんだ。あと、夜景も。」
昼間はなんの変てつもない駐車場。
だけど、ここからみる夕やけと夜景は絶景だ。
「あ、缶コーヒー飲む?」
潤「奢るよ。」
松本くんは僕を制するように車から降りて自販機がある場所へと走っていった。
そう。ほんとにここは、昼間は何もない小高い丘陵地。
でも、日が傾き初める頃からよる夜中にかけてカップルの姿がそこかしこに見られた。
「よく分かったね?僕がここにいること?」
潤「だって、小、中の同級生って言ってたでしょ?」
「…そっか。そうだね。」
松本くんは、急に顔を逸らして缶コーヒーを口にする僕を見て、
しまった、という顔をした。
潤「ごめん…そんなつもりじゃ…」
「ううん。翔くんのことならもう平気。」
潤「…そう。」
「地元じゃ翔くんはちょっとした有名人だしね。」
潤「へぇ…」
「僕が幼なじみだ、って近所の人たちは知ってるから、翔くんの近況をみんな聞きたがるんだ。」
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