その手で触れて確かめて
第12章 甘く、透明なオレンジ( M × O )
智side
「松本くん…」
潤「あっ!!あの…ごめんなさい!!つい…」
「そうじゃなくて…その…」
松本くんから表情を見られないようにさらに顔を俯けた。
「少し…時間がほしいんだ。」
潤「時間て…?」
もしかしたら、って、
ほんとはそうなんじゃないか、って、
ここに来てしばらくの間ずっと考えてた。
「似顔絵…」
潤「えっ!?あ、ああ、あれ?」
「松本くんの顔ばっかり描いちゃうの。ここ最近。」
初めは、翔くんの顔より松本くんの特徴的な顔が印象に残りやすいからなのかな?って思ってたんだけど、
何だか違うみたいで。
だから確認したいんだ。
この気持ちがなんなのか…
「もう少し待っててよ。」
潤「…分かった。」
辺りはもう、暗闇に包まれてて、
その時の松本くんの表情は分からなかったけど、
膝に置かれた僕の手を握りしめてくれた松本くんの手は、
とても温かくて優しかった。
瞬間、僕は気づいてしまった。
ああ、僕、松本くんのことが好きなんだ、って。
そして、いつか分かるだろう。
松本くんが僕を思う気持ちよりも、
僕が松本くんを思う気持ちが強くなってる、ってことを…
それを、裏付けるかのように、
僕の手は、無意識に松本くんの手を、
握り返していた。
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