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その手で触れて確かめて

第13章 雨の日に恋をして ( A × N )



「あっ!!し、翔さん、お帰りなさい。」



翔さんは、慌ててプリンを隠す俺を見て微笑んだ。



翔「いいよ。それ、カズにあげる。」


「ホント?」


翔「待たせたお詫び。」


翔さんは、カバンを足元に置き、俺の体をぎゅっと抱きしめてくれた。



翔「ただいま、カズ。」


「お帰り、翔さん。」



翔さんは、俺のおでこにキスを落とすと、



大きな犬みたいに、俺の髪に鼻を押しつけてきて、さらにはくんくんと鼻を鳴らしながら嗅ぎ回った。



翔「カズの香りがする。」


「ふふっ。これ、翔さんちのシャンプーの匂いじゃん?」


翔「カズから香ってんだから、カズの匂いだよ?」


翔さんは俺の顎を持ち上げ、触れるか触れないぐらいのキスをしてきた。



唇が離れて、目が合った途端、突然、翔さんが笑い出す。



「な、何?」


翔「もの足りなさそうな顔してるから。」


「し、してないよ!!」



翔さんは、真っ赤になって否定する俺を見、笑いながら足元に置いたカバンを持ち上げ、買い物袋を目の前にちらつかせた。



翔「飯、食おっか?」



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